地中熱利用促進協会

地中熱利用促進協会 地中熱利用をお考えの全ての方にご協力いたします!

Geo-Heat Promotion Association of Japan

事務局

平成24年度 環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野 (地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム) における実証対象技術 募集要領(追加募集)


平成24年度 環境技術実証事業
ヒートアイランド対策技術分野
(地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム)
における実証対象技術
募 集 要 領(追加募集)
環境技術実証事業
平成24年9月28日特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会
 特定非営利活動法人地中熱利用促進協会は、環境省が実施する「平成24年度環境技術実証事業ヒートアイランド対策技術分野(地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム)」における実証機関として、実証対象技術(一部を除く)を下記のとおり追加募集いたします。
1.募集の概要
(1)実証対象技術
本実証試験の対象とする地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システムとは、地中熱及び地下水、下水、河川水等(以下、下水等)を熱源とし、ヒートポンプによって効率的に暖冷房を行うシステム全般のことです。当該システムは、下図に示すような階層的な技術の組み合わせで構成されており、各階層での製品や技術を有する企業、販売事業者およびユーザーからの実証申請を想定しています。その階層ごとに実証単位と呼ぶ、以下に示す(A)(B)(C)の技術のまとまり(単位)で実証試験を行います。各実証単位の実証項目については、(2)に示す実証試験要領を御参照ください。今回追加募集をするのは、これらのうちの以下の2種類の単位です。
①実証単位(B)地中熱・下水等専用ヒートポンプ
②実証単位(C)地中熱交換部


図 地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システムの階層構造

①実証単位(B)地中熱・下水等専用ヒートポンプ
-地中熱や下水熱等を熱源として想定し、各熱源温度を適正温度範囲とする水冷式
ヒートポンプ。設備機器メーカーが販売する既製品単位を想定している。
②実証単位(C)地中熱交換部
-地中熱交換井からヒートポンプの地中熱源側の熱媒出入口までを範囲とするシステ
ム。土木系企業の技術のみで設置が可能な技術範囲と想定している。

(2)実証試験の内容及び方法、実証の申請及び実施に関する要領
「環境技術実証事業ヒートアイランド対策技術分野(地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム)実証試験要領」(平成24年3月30日改定)を参照してください。
http://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/03/09_4.pdf
また、環境技術実証事業全般については、
「環境技術実証事業実施要領」(平成24年4月1日付)
http://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/intro/yoryo_h24.pdf
環境省・環境技術実証事業ウェブサイト
http://www.env.go.jp/policy/etv/
を参照してください。

(3)実証試験にかかる費用負担
この実証試験は、平成23年度から手数料徴収体制に移行しました。手数料徴収体制では実証試験実施に係る経費のうち、実証機関に発生する「測定・分析等の費用」、「人件費」、「消耗品費」、「旅費」の4項目に関する費用を手数料として実証申請者が負担することとなります。また、手数料とは別に実証対象技術の試験実施場所への持ち込み・設置、現場で実証試験を行う場合の実証対象技術の運転、試験終了後の実証対象技術の撤去・返送に要する費用は実証申請者の負担となります。
手数料金額は、実証対象技術のシステムの大小、測定器の有無及びその精度、測定器取り付け撤去工事の大小など、設備の条件等により変動します。そのため一律に手数料金額を提示することはできませんが、代表的なケース別の手数料金額は、次の費目の合計として概算を算出することができます。

①実証単位(B)

  • ヒートポンプ試験設備の借料(実証試験要領に規定する試験が適切に行える場合は、実証申請者の自社設備を使用することも可能です。)
  • 実証機関の人件費 (一件につき数万円程度。試験設備の確認の多少、試験日数等により変動します。)
  • 実証機関の職員の旅費(東京―現地往復旅費2回分、遠方では一泊二日の日当宿泊費を加算)
  • 消耗品費(若干)

②実証単位(C)

  • サーマルレスポンス試験の外部委託費の実費(約50~100万円)
  • 実証機関の人件費(一件につき数万円程度。試験日数、他工事との日程調整の有無などにより変動します。)
  • 実証機関の職員の旅費(東京―現地往復旅費2回分、遠方では一泊二日の日当宿泊費を加算)
  • 消耗品費(若干)

手数料の金額は、申請受付後に、実証機関が実証対象技術の設備の状況や試験内容を確認した上で決めることとなります。
なお、手数料の概算については、申請書受付前でも実証機関においてご相談に応じます。

(4)実証申請者の条件
 本事業に実証申請者として参加する事業者は、実証対象技術との間に、以下のような具体的な関係を有することが求められております。
①実証対象となる「(B)地中熱・下水等専用ヒートポンプ」、「(C)地中熱交換部」の製造・施工等を行っている事業者(ただし、上記(C)については、「地中熱交換器製造業者」及び「地中熱交換井施工業者」に限る。)
②上記(B)、(C)の販売事業者(販売代理店を含む)
③上記の(C)を含むヒートポンプ空調システムを導入している法人又は個人

※ただし、上記②、③については、製造・施工業者等から実証申請の許諾を得ており、
かつ実証試験の実施にあたり必要な情報や製品、人員等を入手可能な体制を有して
いる者に限る。

(5)申請方法

申請書1部(正本1部)を郵送にて提出してください。様式は、添付資料の「実証申請書フォーム」をご使用ください。
なお、審査や試験計画作成を効率的に行えるよう、システム図、設備配置図、機器仕様などの技術的な資料は、できるだけ添付してください。

  • 「実証申請書」提出先
    〒167-0051東京都杉並区荻窪5丁目29番20号 パシフィックアークビル5階
    特定非営利活動法人地中熱利用促進協会(事務局 宮崎眞一、小間憲彦)
    電話/FAX番号:03-3391-7836 E-mailアドレス:geohpaj@geohpaj.org
  • 申請書受付の締め切り日
    平成24年10月12日(金)必着
  • 添付資料
    1)実証申請書フォーム (Word ファイル)

2.平成24年度スケジュール
実証試験に係るスケジュールは以下の見込みです。

3.その他
実証対象技術の選定については、申請された内容に基づいて特定非営利活動法人地中熱利用促進協会が設置する技術実証検討会の意見を踏まえ総合的に判断致しますので、申請された技術について実証試験を行うことが出来ない場合があります。
得られた実証試験の結果は実証試験結果報告書として取りまとめ、試験結果の如何に関わらず、すべての実証試験結果報告書は環境省・環境技術実証事業ウェブサイトで公表します。特許出願等の関係で公開を希望されない情報などについては、別途協議いたします。
また、実証試験を行った実証対象技術には、環境省から「環境省環境技術実証事業個別ロゴマーク」が交付されます。
なお、本事業は、実証対象技術の性能を客観的に試験し、その結果を公表するものであり、その技術について、環境省や地中熱利用促進協会が保証、認証、許可等を与えるものではありません。[参考1]これまでの実績一覧

[参考2]環境技術実証事業について
環境技術実証事業は、既に適用可能な段階にありながら、環境保全効果等についての客観的な評価が行われていないために普及が進んでいない先進的環境技術について、その環境保全効果等を第三者が客観的に実証することにより、環境技術実証の手法・体制の確立を図るとともに、環境技術の普及を促進し、環境保全と環境産業の発展に資することを目的とするものです。
なお、環境技術実証事業全般及び詳細については環境省・環境技術実証事業ウェブサイト(http://www.env.go.jp/policy/etv/)を参照してください。

 

4.問い合わせ先

特定非営利活動法人地中熱利用促進協会(事務局 宮崎眞一、小間憲彦)
住所:〒167-0051 東京都杉並区荻窪5丁目29番20号
パシフィックアークビル5階
電話/FAX番号:03-3391-7836
E-mailアドレス:geohpaj@geohpaj.org
URL:http://www.geohpaj.org/

TRT事業者の関心表明募集を開始しました。

【環境技術実証事業】
TRT事業者の関心表明募集
平成24年9月14日特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会
 環境省の環境技術実証事業(ETV)の地中熱技術分野は、協会が実証機関を担当しております。 ETVの地中熱技術分野では、サーマルレスポンス試験(TRT)を協会が専門業者に発注して実施します。今年度もTRTの発注が数件予想されますので、受注を希望する会社から下記の通り関心表明を募集いたします。
1.発注手続き
今後の発注手続きは、次のとおりです。
①関心表明の募集(本文)
②関心表明の提出(応募者)
③発注案件が定まった時点で、協会は関心表明者に対して仕様書を提示する。(協会)
④受注希望者は、計画書と見積書を協会に提出する。(希望者)
⑤協会は、計画書と見積書を基にして発注業者を選定し、発注する。(協会)
なお、関心表明の募集は、必要な都度行います。2.関心表明の提出
①提出期限    平成24年10月5日
②提出書類    1) 会社名、担当者名、連絡先
2) TRTの経験年数、TRTの経験件数が分かる資料
(様式は任意。簡単で結構です。)
③提出方法    関心表明の提出は、e-メールでお願いいたします。
④関心表明の提出先
地中熱利用促進協会  宮崎、小間
メールアドレス  miyazaki@geohpaj.org koma@geohpaj.org
その他、ご質問があればご連絡ください。

添付資料:ETVのTRT業者の関心表明募集9月(本案内文)(trt_boshu.pdf)

以上

地中熱利用促進協会主催 第1回地中熱設計講座を開催致しました

平成24年8月21日

  地中熱利用促進協会主催第1回地中熱設計講座のご案内

特定非営利活動法人(NPO法人)
地中熱利用促進協会
事務局

 再生可能エネルギーの急速な広まりが期待される現在、地中熱の正しい設計の必要性が高まっています。NPO法人地中熱利用促進協会では、第1回地中熱設計講座を以下のとおり開催いたします。
この設計講座では、今後、地中熱設備の設計に携わる方を対象に、性能予測ツール「Ground Club」を使った設計演習を行います。ふるってご参加下さい。なお、実習に用いるパソコンは、各自でご持参願います。
OS : Windows XP以上、解像度:1024×768以上、Excelがインストールされていること。
Ground Clubは、当日、演習バージョンをインストールします。過去に試用版のインストール歴のない
マシンをご用意下さい。また、やや重い処理を行いますので、できるだけスペックの高いマシンのほう
が望ましいです。
1.開催期間と場所

期間:平成24年10月3日(水)
会場:TKPスター貸会議室 九段下第2、第3会議室
東京都千代田区九段北1-12-3 井門九段北ビル2F
Tel 03-5217-5577
http://www.kaigishitsu.jp/room_kudanshita.shtml

2.講師およびカリキュラム

北九州市立大学講師 葛 隆生
ゼネラルヒートポンプ工業株式会社 常務取締役 柴 芳郎

3.募集人員および申込方法

募集人員: 40名(先着順)
申込方法: 受講申込書に必要事項を記入の上、下記申込先にE-MailまたはFaxにてご送付下さい。

4.受講証明書

CPD対応、協会からは受講証明書を発行します。

5.参加費

協会会員 非会員 学生(5名まで)
14,700円 21,000円 10,500円

参加費には、消費税が含まれています。
別紙申込書記載の銀行口座に9月21日までにお振込ください。
学生の方は、当日、学生証をご提示下さい。

6.お申込み先

特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会
〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-29-20
Tel/Fax:03-3391-7836
E-mail:geohpaj@geohpaj.org

8月7日から受け付け開始。定員になり次第、締め切ります。

講座の案内と受講申込書(120821sekkei.doc)(200kB)
(120821sekkei.pdf)(239kB)

7.その他地中熱講座の案内

協会では、これまで行ってきた基礎講座、今回開催する設計講座の他に、施工講座を計画しています。
施工講座は今年度出版予定の施工管理マニュアルを教材として、施工技術について学習します。来年2月頃開催を予定しています。

 

節電に最も効果のある地中熱ヒートポンプ

平成24年7月24日

節電に最も効果のある地中熱ヒートポンプ

NPO法人 地中熱利用促進協会
   原発事故以降の電力不足の中で、今年も節電への対応に苦しい取り組みをされているのではないでしょうか。節電・省エネをお考えの皆様に地中熱を利用した節電法についてご紹介します。毎年、夏の午後のピーク電力への対応が、節電においては最も切実な問題です。夏の暑い時期にこれ以上の節電というと、あとは快適性を犠牲にして冷房を切ったりするしかないと思われている方も多いと思います。しかし、その選択肢は熱中症のリスクを抱えていますし、そこまで行かなくとも作業能率の低下という問題が残ります。

自然界には意外に身近なところに冷たい場所(冷熱源)があります。皆様の足下にある地中の温度は年間通して一定しており、ほぼその地域の年平均気温と同じです。この地中にある熱(地中熱)は、夏は冷熱源として、冬は温熱源として利用できます(図1)。

地中熱を利用した  エアコン(地中熱ヒートポンプ:図2)を使うと、通常の空冷エアコン(空気熱源ヒートポンプ)に比較して格段に少ないエネルギーで冷房ができます。その原理を簡単に説明します。熱は温度の高いところから低いところに向かって流れます。従って、空冷エアコンで室内の排熱をするためには、室外機から放熱する際の 温度を、外気温より高くする必要があります。その状況は、エアコンの室外機からの熱風を体感された方にはご理解いただけると思います。特に夏の暑い日は放熱のために、より多くの電力が使われることになります。一方、地中熱ヒートポンプでの放熱先の地中は、夏は冷えていますので、たやすく熱が逃げてくれ、少ないエネルギーで室内の排熱が可能になります。地中熱ヒートポンプは空冷エアコンより格段に少ない電力で冷房ができるのです。
この仕組みから、特に夏に多くの電力を消費する酷暑日ほど、地中熱ヒートポンプの節電効果が大きくなることを理解していただけると思います。冬の暖房も同じです。冬季には逆に地中の温度が気温より高くなっていますので、地中熱ヒートポンプによる暖房が効率的にできます。昨年は節電で石油ストーブが売れましたが、化石燃料の消費は地球温暖化対策だけでなく貿易収支の面からも問題です。地中熱のような国産の熱エネルギーを使っての節電が望ましい姿だと思います。
業務用の地中熱ヒートポンプと空冷エアコンの実績値を比較してみると、空調を地中熱にした場合、少なく見積もっても消費電力は3分の1程度削減できる見込みです(図3)。また、地中熱利用は、冷房排熱を外気に放熱しませんのでヒー トアイランド対策にも効果的です。外気が高温にならない分だけ、冷房の電力消費を抑えることができますので、これも節電に加算されます。日本地熱学会では地中熱利用が普及した際のヒートアイランド現象抑制効果も考慮すると、空冷エアコン利用時と比べ、冷房時の消費電力は半分程度になると試算しています。

それでは、地中熱ヒートポンプの導入により、夏の電力のピークカットにどの程度の貢献ができるでしょうか。東電管内の業務用空調について見ると、夏の冷房需要が1,000万kWあります(図4)。地中熱ヒートポンプの導入による電力削減に、ヒートアイランド抑制効果による電力削減を加え半分が削減できるとすると、東電管内の業務用だけでも500万kW程度の節電効果になるものと考えられます。これに家庭用の空調も考慮し全国規模で予測してみると、東電の電力供給は全国の約3割ですので、日本全体では地中熱ヒートポンプの導入による節電効果は1,000万kWを大きく超える規模になるものと推定されます。
そうはいっても、地中熱の利用はまだわずかです。これは認知度が低いこともさることながら、初期コストが割高であることが普及の障壁となっています。地中熱利用による省エネ効果で、ランニングコストは大幅に削減できますので、長期にわたって利用すれば初期投資は回収できるわけですが、その回収年数が10年以下になってい る設備はまだ少ないのが現状です。しかし、2010年に地中熱は再生可能エネルギーとして国に認知され、国からの助成が受けられるようになりました。経済産業省による再生可能エネルギー熱利用の助成事業や、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス推進事業等では、地中熱ヒートポンプへの導入支援の補助金があります。新エネルギー導入促進協議会、環境共創イニシアチブが、2012年度の助成事業の窓口となっています。このほか、地域によっては地方公共団体からの助成も受けられます。
地中熱ヒートポンプは、今年5月に開業した東京スカイツリーでも、高効率な冷暖房システムの中で活用されています。ここ数年全国的に地中熱ヒートポンプの導入が増えてきています。これから地中熱利用の普及が進展すれば、再生可能エネルギーの熱利用分だけ、発電所の設備容量を削減することが可能になります。節電・省エネの有力な手段ですので、新築や設備更新の際に是非地中熱の利用をご検討ください。
 

節電に最も効果のある地中熱ヒートポンプ (pdf版資料:235kB)

地中熱の広報ムービーをyoutubeで公開いたしました

地中熱の広報ムービーをyoutubeで公開いたしました!
http://www.youtube.com/user/geohpaj

 

 

 

平成24年7月 地中熱利用シンポジウム開催のご案内

 地中熱利用シンポジウム 「地中熱による冷房と節電」

特定非営利活動法人(NPO法人) 地中熱利用促進協会

1.趣旨
東日本大震災に端を発する電力事情の悪化から、全国的に夏の電力需要のピークに対する供給力不足が危惧されています。供給力不足による大規模停電を避けるため、節電、特に電力需要のピークカットが極めて重要な課題となっていますが、地中熱利用ヒートポンプシステムは、ピークの主因である冷房電力需要の削減に非常に大きな効果を持ちます。今回のシンポジウムは、盛夏の九州において、「地中熱による冷房と節電」をテーマに開催します。ふるってご参加下さい。
また、シンポジウム開催に合わせ、九州地中熱利用見学会を開催いたします。クローズドループでは日本最大となったIKEA福岡新宮をはじめ、福岡大学付属大濠高校、(株)ワイビーエム唐津工場、九州電力(株)生物資源研究所の地中熱利用システムを、1泊2日の日程で見学します。
シンポジウム・見学会とも、所定の申込用紙にてお申込み下さい。

2.主催 特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会

3.日時・会場
(1)見学会
日  時:平成24年7月26日(木)13:00 ~ 27日(金)11:30
集合場所:JR博多駅 筑紫口(新幹線口)
見学場所:(26日)IKEA福岡新宮・福岡大学付属大濠高校・(株)ワイビーエム唐津工場
(27日)九州電力(株)生物資源研究所
宿泊場所:佐賀県唐津市 虹ノ松原ホテル(ホテルにて懇親会を行います)
参加費用:18,000円(バス代・宿泊費・懇親会費)
定  員:定員に達し、見学会の募集は締め切りました。
(2)シンポジウム
日  時:平成24年7月27日(金)13:00 ~ 16:30 (受付開始 12:30)
会  場:九州大学医学部100年講堂 中ホール1・2
〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1番1号(下記案内図)
参加費用:無料(資料代として、協会会員1,000円、非会員2,000円をご負担願います)
定  員:150名(先着順: 参加募集しております)

4.申込方法
申込用紙に必要事項を記載の上、下記までE-mail、FAX或は郵送でお送りください。
折り返し、受付確認の御連絡をいたします。特に見学会参加者は、必ずご確認下さい。
〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-29-20 特定非営利活動法人地中熱利用促進協会
E-mail:geohpajs@geohpaj.org  FAX:03-3391-7836

平成24年7月参加申込書(120621.doc)(195kB) 

5.見学会スケジュール
7月26日
13:00  博多駅筑紫口 出発
(移動)
13:30~14:50 IKEA福岡新宮 見学・・・・説明 (株)久米設計
(移動)
15:50~16:50 福岡大学付属大濠高校・・・・見学 説明 日本設計(株)
(移動)
17:30~18:30 (株)ワイビーエム見学・・・・説明 (株)ワイビーエム
(移動)
19:00~21:00 懇親会 唐津市 虹ノ松原ホテル(宿泊)

7月27日
08:30  出発
(移動)
09:40~10:50 九州電力(株)生物資源研究所 見学・・・・説明 九州電力(株)
(シンポジウム会場に移動)

6.シンポジウムプログラム

13:00~13:10 開会挨拶・・・・地中熱利用促進協会 理事長 笹田 政克
13:10~13:50 地中熱概説・・・・西日本工業大学 教授 成田 樹昭
13:50~14:30 特別講演「地中熱を用いた高効率冷房システムの実例と
今後の可能性」
・・・・九州大学 准教授 藤井 光
14:30~15:00 「九州における地中熱利用冷暖房システムの優位性
(50m深以下の熱交換井)」
・・・・(株)ワイビーエム 代表取締役会長 吉田 哲雄
————- 休憩 ————-
15:10~15:45 「地中熱利用システムの導入事例と実績評価(仮題)」
・・・・新日鉄エンジニアリング(株) 建築・鋼構造事業部
総合建築部建築設備室長 池田 達也
15:45~16:20 「地中熱利用空調システムの事例紹介」
・・・JFEエンジニアリング(株) エネルギー本部 新空調事業部
技術グループ 松井 聰
16:20~16:30 閉会挨拶・・・・地中熱利用促進協会

以上

平成24年度 環境技術実証事業ヒートアイランド対策技術分野(地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム)における実証対象技術の公募を開始しました。

平成24年度 環境技術実証事業
ヒートアイランド対策技術分野
(地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム)
における実証対象技術
募 集 要 領
環境技術実証事業
平成24年6月13日特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会
 特定非営利活動法人地中熱利用促進協会は、環境省が実施する「平成24年度環境技術実証事業ヒートアイランド対策技術分野(地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム)」における実証機関として、実証対象技術を下記のとおり募集いたします。
1.募集の概要
(1)実証対象技術
本実証試験の対象とする地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システムとは、地中熱及び地下水、下水、河川水等(以下、下水等)を熱源とし、ヒートポンプによって効率的に暖冷房を行うシステム全般のことです。当該システムは、下図に示すような階層的な技術の組み合わせで構成されており、各階層での製品や技術を有する企業、販売事業者およびユーザーからの実証申請を想定しています。その階層ごとに実証単位と呼ぶ以下に示す(A)(B)(C)の技術のまとまり(単位)で実証試験を行います。各実証単位の実証項目については、(2)に示す実証試験要領を御参照ください。
図 地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システムの階層構造

実証単位(A)システム全体
-地中熱交換部からヒートポンプまでを含めた、当システムに関わる技術全体を指す。
実証単位(B)地中熱・下水等専用ヒートポンプ
-地中熱や下水熱等を熱源として想定し、各熱源温度を適正温度範囲とする水冷式
ヒートポンプ。設備機器メーカーが販売する既製品単位を想定している。
実証単位(C)地中熱交換部
-地中熱交換井からヒートポンプの地中熱源側の熱媒出入口までを範囲とするシステム。
土木系企業の技術のみで設置が可能な技術範囲と想定している。

(2))実証試験の内容及び方法、実証の申請及び実施に関する要領
「環境技術実証事業ヒートアイランド対策技術分野(地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム)実証試験要領」(平成24年3月30日改定)を参照してください。
http://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/03/09_4.pdf
また、環境技術実証事業全般については、
「環境技術実証事業実施要領」(平成24年4月1日付)
http://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/intro/yoryo_h24.pdf
環境省・環境技術実証事業ウェブサイト
http://www.env.go.jp/policy/etv/
を参照してください。

(3)実証試験にかかる費用負担
この実証試験は、平成23年度から手数料徴収体制に移行しました。手数料徴収体制では実証試験実施に係る経費のうち、実証機関に発生する「測定・分析等の費用」、「人件費」、「消耗品費」、「旅費」の4項目に関する費用を手数料として実証申請者が負担することとなります。また、手数料とは別に実証対象技術の試験実施場所への持ち込み・設置、現場で実証試験を行う場合の実証対象技術の運転、試験終了後の実証対象技術の撤去・返送に要する費用は実証申請者の負担となります。
手数料金額は、実証対象技術のシステムの大小、測定器の有無及びその精度、測定器取り付け撤去工事の大小など、設備の条件等により変動します。そのため一律に手数料金額を提示することはできませんが、代表的なケース別の手数料金額は、次の費目の合計として概算を算出することができます。

1)実証単位(A)

①ケース(A)-1 標準的な場合標準的な場合(測定器がついておらず、サーマルレスポンス試験も必要な場合)

  • 測定器の借料・損料(必要な測定器の購入金額と同じ程度)
    必要な測定器の種類は温度計、流量計、電力量計ですが、詳細は実証試験要領をご覧ください。
  • 測定器の取り付け・撤去工事費の実費(外部の専門業者に外注)
  • サーマルレスポンス試験の外部委託費の実費(約100万円)
  • 実証機関の人件費(一件につき約50万円程度。システムの設備条件、試験条件等により変動します。)
  • 実証機関の職員の旅費(東京―現地往復旅費4回分、遠方では一泊二日の日当宿泊費を加算)
  • 消耗品費(若干)

②ケース(A)-2 測定器がついている場合

  • ケース(A)-1のうち、測定器の借料・損料、測定器の取り付け・撤去工事費の実費は不要です。

③ケース(A)-3 サーマルレスポンス試験の既存データがある場合

  • ケース(A)-1のうち、サーマルレスポンス試験の実費は不要です。

2)実証単位(B)

  • ヒートポンプ試験設備の借料(実証試験要領に規定する試験が適切に行える場合は実証申請者の自社設備を使用することも可能です。)
  • 実証機関の人件費 (一件につき約50万円程度。試験設備の確認の多少、試験日数等により変動します。)
  • 実証機関の職員の旅費(東京―現地往復旅費2回分、遠方では一泊二日の日当宿泊費を加算)
  • 消耗品費(若干)

3)実証単位(C)

  • サーマルレスポンス試験の外部委託費の実費(約100万円)
  • 実証機関の人件費(一件につき約50万円程度。試験日数、他工事との日程調整の有無などにより変動します。)
  • 実証機関の職員の旅費(東京―現地往復旅費2回分、遠方では一泊二日の日当宿泊費を加算)
  • 消耗品費(若干)

手数料の金額は、申請受付後に、実証機関が実証対象技術の設備の状況を確認した上で決めることとなります。なお、手数料の概算については、申請書受付前でも実証機関においてご相談に応じます。

(4)実証申請者の条件
 本事業に実証申請者として参加する事業者は、実証対象技術との間に、以下のような具体的な関係を有することが求められております。
①実証対象となる「(A)システム全体」、「(B)地中熱・下水等専用ヒートポンプ」、「(C)地中
熱交換部」の製造・施工等を行っている事業者(ただし、上記(C)については、「地中熱
交換器製造業者」及び「地中熱交換井施工業者」に限る)
②上記(A)~(C)の販売事業者(販売代理店を含む)
③上記(A)、(C)を含むヒートポンプ空調システムを導入している法人又は個人

※ただし、上記②、③については、製造・施工業者等から実証申請の許諾を得ており、
かつ実証試験の実施にあたり必要な情報や製品、人員等を入手可能な体制を有して
いる者に限る。

(5)申請方法

申請書11部(正本1部、写し10部)を郵送にて提出してください。様式は、添付資料の「実証申請書フォーム」をご使用ください。
なお、審査や試験計画作成を効率的に行えるよう、システム図、設備配置図、機器仕様などの技術的な資料は、できるだけ添付してください。

  • 「実証申請書」提出先
    〒167-0051東京都杉並区荻窪5丁目29番20号 パシフィックアークビル5階
    特定非営利活動法人地中熱利用促進協会(事務局 宮崎眞一、小間憲彦)
    電話/FAX番号:03-3391-7836 E-mailアドレス:geohpaj@geohpaj.org
  • 申請書受付の締め切り日
    平成24年6月29日(金)必着
  • 添付資料
    1)実証申請書フォーム (Word ファイル)
    2)実証試験要領(平成24年3月30日改定)
    http://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/03/09_4.pdf
    3)環境技術実証事業実施要領
    http://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/intro/yoryo_h24.pdf

2.平成24年度スケジュール
実証試験に係るスケジュールは以下の見込みです。実証試験(冷房期間、暖房期間)は実証単位(A)を対象にしております。

3.その他
実証対象技術の選定については、申請された内容に基づいて特定非営利活動法人地中熱利用促進協会が設置する技術実証検討会の意見を踏まえ総合的に判断致しますので、申請された技術について実証試験を行うことが出来ない場合があります。
得られた実証試験の結果は実証試験結果報告書として取りまとめ、試験結果の如何に関わらず、すべての実証試験結果報告書は環境省・環境技術実証事業ウェブサイトで公表します。
実証試験を行った実証対象技術には、環境省から「環境省環境技術実証事業個別ロゴマーク」が交付されます。特許等の関係で公開を希望されない情報などについては、別途協議いたします。
本事業は、実証対象技術の性能を客観的に試験し、その結果を公表するものであり、その技術について、環境省や地中熱利用促進協会が保証、認証、許可等を与えるものではありません。[参考1]これまでの実績一覧

[参考2]環境技術実証事業について
環境技術実証事業は、既に適用可能な段階にありながら、環境保全効果等についての客観的な評価が行われていないために普及が進んでいない先進的環境技術について、その環境保全効果等を第三者が客観的に実証することにより、環境技術実証の手法・体制の確立を図るとともに、環境技術の普及を促進し、環境保全と環境産業の発展に資することを目的とするものです。
なお、環境技術実証事業全般及び詳細については環境省・環境技術実証事業ウェブサイト(http://www.env.go.jp/policy/etv/)を参照してください。

4.問い合わせ先

特定非営利活動法人地中熱利用促進協会(事務局 宮崎眞一、小間憲彦)
住所:〒167-0051 東京都杉並区荻窪5丁目29番20号
パシフィックアークビル5階
電話/FAX番号:03-3391-7836
E-mailアドレス:geohpaj@geohpaj.org
URL:http://www.geohpaj.org/

地中熱利用促進協会主催 第6回地中熱基礎講座を開催致しました。

平成24年4月20日

  地中熱利用促進協会主催第6回地中熱基礎講座のご案内

特定非営利活動法人(NPO法人)
地中熱利用促進協会
事務局

 再生可能エネルギーの急速な広まりが期待される現在、地中熱に係わる講習会の必要性が高まっております。NPO法人地中熱利用促進協会では、第6回地中熱基礎講座を以下のとおり開催いたします。是非、ご参加のご検討を宜しくお願い致します。
1.開催期間と場所

期間:平成24年6月28日(木)・29日(金) 2日間(部分参加可能)
会場:川崎市産業振興会館 9F第3研修室
〒212-0013 神奈川県川崎市幸区堀川町66番地20
川崎市産業振興会館       Tel.044-548-4111

2.募集人員および申込方法

募集人員: 60名(先着順)
申込方法: 受講申込書に必要事項を記入の上、協会事務局へ送付

3.講座テキスト

「地中熱ヒートポンプシステム」北海道大学地中熱利用システム講座(オーム社)を使用します。お持ちでない方には会場にて販売します。会場での購入を希望される方は、申込用紙に購入数の記入をお願いいたします。(1冊3,000円)

4.見学場所

川崎市 南河原こども文化センター  川崎市幸区宮小町74-2

5.受講証明書

CPD対応、協会からは受講証明書を発行します。

6.参加費

協会会員 非会員 学生(5名まで)
2日間 21,000円 30,000円 15,000円
1日間 14,000円 20,000円 10,000円

別紙申込書記載の銀行口座に5月末までにお振込ください。
学生の方は、当日、学生証をご提示下さい。
テキスト代3,000円、懇親会参加費5,000円は当日お支払いください。

7.お申込み先

特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会
〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-29-20
Tel/Fax:03-3391-7836
E-mail:geohpaj@geohpaj.org
URL:http://www.geohpaj.org/

4月20日から受け付け開始。定員になり次第、締め切ります。

講座の案内と受講申込書 (120421regist.doc)(55kB)
第6回基礎講座プログラム (program.xls)(34kB)

8.その他地中熱講座の案内

協会では、基礎講座の他に、設計講座、施工講座を計画しています。
設計講座では、正しい設計を学習し、性能予測ツール「Ground Club」の使い方を学習します。
8月頃開催予定です。
施工講座は今秋出版予定の施工管理マニュアルを教材として、施工技術について学習をします。来年2月頃開催を予定しています。

 

震災復興に取り組まれている皆様へ

平成23年6月7日

コミュニティ再生における地中熱の活用
- 震災復興に向けての提言 -

NPO法人 地中熱利用促進協会
1.はじめに このたびの東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申しあげます。
東日本大震災とそれに伴う原発事故を受けて、わが国のエネルギー政策の見直しが始められています。再生可能な自然エネルギーがこれからの日本のエネルギーを担う1つの柱として注目を集めていますが、これからご紹介する地中熱は、日本中どこでも安定的に利用できる自然エネルギーです。地中熱は昨年改訂されたエネルギー基本計画に初めて取り上げられましたが、まだ国民の皆様に十分認知されている状況にはありません。環境性に優れた地中熱の利用についてご理解いただき、地中熱を被災地の復興に活用していただけますよう、これまでこの分野で数多くの経験をもつ地中熱利用促進協会は、この提言を作成いたしました。
地中熱利用促進協会は、設立8年目を迎えたNPO法人で、国民の生活環境の向上に寄与することを目的にして、地中熱利用に関する知識と地中熱利用技術の普及促進の活動を行っています。環境関連の展示会への出展やホームページ等での広報、市民相談等を通じて、多くの方に地中熱の優れた特性を知っていただくとともに、シンポジウムや講習会の開催、施工管理マニュアルの作成等で、地中熱利用技術の普及に努めてきています。2011年5月18日時点での当協会の会員数は、団体会員125社、個人会員41名、大学・官庁等の賛助会員53名です(http://www.geohpaj.org/index.htm)
この度の東日本大震災からの復興に向けて、当協会では震災復興のタスクフォースを結成し、これまでの経験と実績をもとに、将来の日本のモデルになるような自然エネルギーを使った持続可能な社会を実現するために、地中熱利用でどのような貢献ができるかを検討いたしました。この提言はそのタスクフォースでの検討結果を取りまとめたものです。当協会ではすでに4月19日に節電・省エネに向けた緊急アピールとして「切り札は地中熱ヒートポンプによる冷暖房です」を発表し、ホームページに掲載しておりますので、この提言とあわせてご活用ください。

2.地中熱とは

 地球のエネルギーである地熱と地中熱は、太陽、風力、水力、バイオマスとともにポテンシャルの大きな自然エネルギーです。同じ地球のエネルギーでも、発電に利用される地熱エネルギーの分布が、火山の周辺の場所などに限られているのに対して、年間通して温度変化の小さい地中の熱的特性を活用する地中熱は、日本中どこでも利用できます。地表から10mくらいの深さのところでは、その場所の年平均気温とほぼ同じ温度になっており、年間を通してその温度はほとんど変化しませんので、地中熱では夏冬の地温と気温の温度差をエネルギーとして利用します(図1)。
夏にトンネルの中はひんやりしますが、それはトンネルが冷房されているわけではなく、気温に比べて夏は地中の温度が低いからです。冬は逆に地中の温度が気温より高くなります。井戸水が夏冷たく感じられ、冬暖かく感じられるのと同じです(図2)。



このように気温が変化しても地温が一定であることは、昔から農村でもよく理解されており、野菜を一定温度の場所に貯蔵する「むろ」として、地中が活用されてきました(図2)。地中の温度が一定であることは住宅にも利用されており、私たちの先祖は縄文時代に竪穴住居に住んでいましたが、これも夏冷たく、冬暖かい地中熱をうまく取り入れた方法です(図3)。

3.地中熱の利用

年間通して温度が一定の地中熱は、いつでもどこでも利用できる状態にあります。現代の技術を使うと、この地中熱はどのように利用できるでしょうか。
地中熱の利用の仕方にはいろいろな方法があります。竪穴式住居は、地中と地上との温度差を巧みに利用して生活空間を作ったものですが、熱伝導を利用したこのような直接的な利用の仕方は現代の建築物にも取り入れられています。断熱性と気密性に優れた住宅では、床下からの伝熱として地中熱を利用できると言われています。パッシブハウス的な発想です。地中熱のエネルギーをもっと積極的に利用しようとすると、地中に孔をあけ、パイプを埋め込み、そこに空気を循環させたり、水や不凍液を循環させて、地中で熱交換して熱を取り出す方法があります。空気を循環させる方法では、地中熱換気システムとして地中熱が利用できます。
一方、地中に埋設したパイプに水(不凍液)を循環させると、さらに効率的に地中熱の利用ができます。この水(不凍液)循環に省エネ機器であるヒートポンプを組み合わせたシステムが、地中熱ヒートポンプシステムで、地中に水等の流体を循環させる方法のほか、汲み上げた地下水と熱交換を行う方法があります。地中熱ヒートポンプシステムは、住宅や事業所で必要とされる熱需要に対応できるシステムです。これは世界的にみて、もっともポピュラーな地中熱の利用方法です(図4)。

地中熱ヒートポンプシステムは、一般住宅のほか、オフィス、店舗、学校、病院、宿泊施設、温浴施設、老人ホームなどの福祉施設、道路や駐車場の融雪施設などで、冷暖房、給湯、融雪に利用されています。特に、熱需要の多い病院、温浴施設、福祉施設は、地中熱の利用に向いており、また、最近では待機中の消防自動車の保温のため北海道の消防署での導入が進んでいます。
この資料では、以下、地中熱ヒートポンプシステムに焦点を合わせて、地中熱利用についての説明をします。

4.地中熱ヒートポンプの優れた点

 地中熱ヒートポンプシステムは、自然エネルギーである地中熱を使い、また省エネ機器であるヒートポンプを使っていますので、環境性能は抜群です。これまで石油を暖房に使っていた施設で地中熱ヒートポンプに代替すると、大きな省エネ効果とともに大きなCO2削減効果が得られます。たとえば、青森県の公共施設に地中熱ヒートポンプシステムを導入した例で見ると、省エネ率が46%、CO2削減は50%となっています(図5)。

5.地中熱の普及状況

 地中熱ヒートポンプの利用は、近年欧米諸国において急速に広がりつつあります。図6では5年ごとのデータを比較していますが、アメリカが一番普及しています。世界的に見ると地中熱は、他の自然エネルギー同様にこの15年間に大きな伸びを示しています。アジアでは中国の伸びが大きく、アメリカに次ぐ設備容量となっています(図6)。
わが国でも地中熱ヒートポンプの利用施設は、増加しているのですが、その絶対数が極めて少なく、欧米・中国に大きな差を付けられているのが現状です。わが国の地中熱の普及が極めて少ないのは、欧米諸国や中国では国のエネルギー政策として地中熱への助成措置が講じられていたことに対し、わが国の場合、昨年まで国のエネルギー政策の中に、地中熱がはいっていなかったことが大きな要因の一つと考えられます。
昨年改訂されたエネルギー基本計画で、初めて地中熱が再生可能エネルギーとして政策に位置づけられました。 そして、本年度は経済産業省の再生可能エネルギー熱利用拡大の政策として、地中熱利用にも導入支援のための助成制度が実現しています。これに関連してマスコミでも地中熱を取り上げていただける機会が増え、ようやく地中熱の本格的な普及が始まる状況にあります。

6.他の再生可能エネルギーとの違い

地域では様々な自然エネルギーが利用できますが、それぞれに利用できる場所、時間帯の制約があるものが多く、利用形態も様々です。これらの自然エネルギー比較してみると、それぞれの自然エネルギーの特性が見えてきて、利用者側のニーズや利用場所との関係でエネルギーを選択することができると思います(表1)。
太陽光による発電や、太陽熱利用のすばらしさは、どこでも使えるという点です。但し、雨や雪が降ると使えませんし、当然ながら、夜間は使えません。それに対し、地熱発電は、場所は限定されますが、稼働率は95%を超え、抜群の安定性を誇っています。
地中熱及びバイオマス(木質ペレットなど)は、夏でも冬でも、昼間でも夜でも、使えるという点で、使い易いエネルギーとなっています。地中熱は、発電はできませんが、熱利用ということでは、最も幅広い需要に応えられます。それは、一年を通して温度が一定であるため、冷熱と温熱が利用できるためで、これは他の自然エネルギーにないたいへんユニークな特徴です。また、時間および場所の制約がともにないことも、他の自然エネルギーにない特徴です。つまり、東北地方の被災地ではどこでも、復興に必要なエネルギーを地中から取り出すことができます。

7.地中熱を利用したコミュニティ再生

昨年出された新成長戦略では、「グリーン・イノベーション」が成長分野のトップに挙げられています。環境・エネルギー大国を目指すグリーン・イノベーションでは、低炭素社会を実現するのみならず、新しい価値の創出により経済成長を牽引することが求められており、自然エネルギーの大量導入が大きな要素となることは確実です。そして、原発事故を伴う3月11日の東日本大震災は、この自然エネルギーに向かう流れを、大きく加速しました。
被災地の復興にあたり、復興構想会議では5月10日の会合で復興構想7原則を策定しており、その中に「地域社会の強い絆を守りつつ、災害に強い安全・安心のまち、自然エネルギー活用型地域の建設を進める」(原則4)が書かれています。そしてこの原則について書いた文書の最後に、「各界・各層のご意見を仰ぎつつ、さらに議論を深め、未来の日本にとって希望となる復興の『青写真』を描きたい」と書かれています。
東日本大震災被災地のコミュニティ再生にあたり、自然エネルギーを活用することは、まさに時代の流れであり、将来のわが国のモデルとなる構想を是非ともまとめていただきたいと思っています。そのためには先に述べましたように、それぞれの自然エネルギーのもつ特性を理解していただくとともに、実際の活用の仕方について理解していただき、復興の『青写真』を作っていただくこと重要であると思っています。
このような視点から、復興での街づくりに地中熱がどのように活用できるかについて、以下に説明いたします。

このイメージ図では、地中熱を利用したコミュニティの再生を描いています(図7)。建物が大都市のように密集せず、この図に描かれている程度の建物間隔でコミュニティが構成される場合、自然エネルギーである地中熱の利用で、それぞれの施設の冷暖房・給湯・融雪の熱エネルギーは、全て賄うことができます。しかし、地中熱の場合は、電気をつくることができませんので、コミュニティに必要なエネルギーを100%自然エネルギーで賄うには、住宅や建物を活用した太陽光発電や、近隣の立地条件のよい場所での風力発電や小水力発電との組み合わせが必要となります。さらに、バイオマスや太陽熱もそれぞれの特徴と地域の社会構造を考慮して組み合わせていけば、それぞれの地域で自然エネルギーのベストミックスができるはずです。
自然エネルギーには電気としての使い方と熱としての使い方があります。電気は送電網によるエネルギーの搬送が可能ですが、熱の長距離の搬送は経済性やエネルギーロスの面から好ましくなく、その場で使うことが原則です。また、電気の貯蔵には経済性の壁がありますが、熱の場合は蓄熱が比較的容易であるという利点があります。これらの特性を理解しながら、自然エネルギーからの供給を、ITを活用しながら、様々なエネルギー需要と組み合わせていくと、自然エネルギーをベースにしたスマートコミュニティができあがるのではないでしょうか。
さて、イメージ図(図7)に戻り、地中熱を利用した施設を紹介します。街の中央に公園があり、そこに地中熱を取り出す熱交換器が何本も埋設してあります。この公園の下から取られた熱が集められて、隣接する集合住宅に供給され、住宅の冷暖房に活用されます。これまで、かなりの数の戸建住宅で地中熱を利用した設備が設置されていますが、このように地中熱利用設備を共通インフラとして、まとまった形での利用する例は初めてです。地中熱交換器を共有する形がとれるとスケールメリットがあり、効率的かつ経済的な利用ができますので、初期コスト低減も可能となるなど、この例はわが国の地中熱利用における先駆的なモデルになります。
公園の手前にある時計台のある建物は役場です。職員のほか多くの人が訪れる場所ですので、どの役場にも広い駐車場があります。そのスペースがあれば十分な数の地中熱交換器が埋設でき、庁舎の建物全体の冷暖房が地中熱でできます。また、防災用の井戸を準備すると思いますので、平時はその井戸水の熱を利用することで、さらに効率的なエネルギー利用が可能になります。井戸水の利用については、次の項で説明します。
役場の左手には病院があります。病院は熱需要の大きな施設であり、現在、どの病院も省エネ・CO2の削減に向けた努力をしていますが、地中熱利用はその解決策になります。NEDOの高効率エネルギーシステム導入促進事業の報告書には、40%の省エネを実現した病院の事例が掲載されています。病院のように24時間冷暖房が必要で、しかも大きな給湯需要があるところは、地中熱の利用に向いており、初期コストを短い期間に回収することができます。また、最近、放射冷暖房を導入する病院が増えてきていますが、地中熱を利用すると、放射冷暖房で室内に流す冷温水の温度が地中熱の温度に近いため、たいへん効率的な運転ができます。
病院から通りを隔てたところにコンビニがあります。ここでは、建物の下にある杭に熱交換器を付けた形で地中熱と利用しています。ある程度大きな建物では基礎杭を打つケースが多くみられますが、この杭を利用する方法は最近多く採用されるようになっており、熱交換器の設置コストの低減に寄与しています。
さらにその奥にあるのが消防署です。積雪地域であれば消防自動車が出動する路面の融雪が必要です。また消防自動車が屋内で待機しているときに、冬季であればエンジンが冷えない適温の暖房が必要です。このような加温にはそれほど高い熱源を導入する必要はなく、地中熱が熱源としてたいへん向いています。
消防署の右隣にあるのが学校です。ここではプールと体育館に注目してください。プールでは地中熱を利用すると効率的に温水が供給できます。また、体育館では床暖房に地中熱を利用すると冬の寒い時でも、足下を気にせずに運動に専念できます。
学校から通りを隔てた手前側にビニールハウスがあります。最近は、地中熱の農業利用に向けた数多くの取り組みが行われています。ここで注目してほしいのが、地中熱交換器が水平型になっている点です。ボーリングによる垂直型のものに比べて経済性があると言われています。この熱交換器については次の項で説明します。
ビニールハウスの前の通りには、融雪用のパイプが埋設されています。積雪のあるところでは、いろいろな熱源で融雪がなされていますが、自然エネルギーである地中熱を使った融雪システムは、すでに数多くの実績があります。
最後に一番手前にある戸建住宅ですが、これは現在普及しているごく一般的な地中熱の利用例です。ボーリングにより地中熱交換器を埋設する工法で、安定的に地中熱を利用していただけるシステムです。
地中熱にはこのイメージ図に描かれているように、多様な使われ方がありますので、復興計画を策定される際には、それぞれのニーズとのマッチングをはかっていただきたいと思っています。

8.地中熱の取り出し方

最後に地中からの熱の取り出し方について説明します。地中熱利用ヒートポンプシステムでは、熱源を地中そのもの(土壌、地層、岩盤など)に求めるか、地中から汲み上げた地下水に求めるかで、システムの構成が異なります。地中そのものに熱源を求める場合は、図8にあるような地中熱交換器を設置します。地中熱は熱交換器中のパイプの中を流れる水(不凍液)を通して採放熱されます。このシステムはクローズド型(あるいはクローズドループ)と呼ばれます。もうひとつのシステムは、地中の帯水層中から汲み上げた地下水から採放熱するもので、地下水は外界の一部となっていますのでオープン型(あるいはオープンループ)と呼ばれます(図9)。熱源の利用が効率良く行われれば、地中熱の導入コストが下がります。
以下に、それぞれについて、熱の取り出し方を説明します。

8.1.クローズド型
・垂直型熱交換器
地中の熱源からエネルギーを取り出す際に、通常用いられているのが垂直型熱交換器です。垂直型地中熱交換器は、100m程度のボーリングをし(掘削機で地中に孔をあけ)、その孔にポリエチレン管を挿入します。そして、そのポリエチレン管に水(不凍液)などを循環させることで熱交換器として機能します。垂直型熱交換器には、ボーリング孔のほか基礎杭や採熱用鋼管杭なども利用されています。

・水平型熱交換器
これまで我が国では、地中熱ヒートポンプを利用する多くの場合、垂直型熱交換器が使われてきました。しかしながら、米国では水平型熱交換器が、よく使われています。この熱交換器は、広い設置面積を必要とすることから、我が国では普及していませんが、復興に際して、あらかじめ水平型熱交換器を埋設できる場合には、これを利用するのも、初期コストを下げるのに良い方法です。この熱交換器は、ボーリング用掘削機といった特殊機械ではなく、通常の土木機械によって設置可能です。

8.2.オープン型
オープン型地中熱ヒートポンプシステムでは、地中から汲み上げられた井戸水(地下水)を熱源に用いますが、農業用水、工業用水も熱源として用いることができます。農業用水や工業用水で地下水を使っている場合は、それらの水温は通年比較的安定しています。農業用水、工業用水で、ダム等の地表水から取水されている場合は、地中熱利用とは呼べませんが、ヒートポンプを用いた利用の仕方は同じですので、それぞれの地域の状況に応じて検討されるのがよいと思います。

・井戸水
井戸水は通年その温度がほぼ一定していますので、地中熱ヒートポンプシステムで有効に使える熱源です。現状では、井戸水を利用したオープン型のシステムは、地中熱ヒートポンプシステム全体の20%程度の件数です。このシステムの経済性は高いのですが、熱交換をした後の井戸水は、地下に戻して利用するのが原則となりますので、還元井戸の目詰まり等のメンテナンスが必要であるため、ある程度の規模以上の施設に向いています。
被災地におけるコミュニティ再生においては、防災用の井戸水を熱源とする地中熱ヒートポンプシステムも検討されてみたら如何でしょうか。防災井戸は全国各地に多く設置されていますが、通常は使用されていません。防災井戸は、単独に設置されることはほとんど無く、公民館など公共施設の付属施設であることが多いので、平常時には、この井戸から水を汲み上げ、冷暖房の熱源として活用することができます。例えば、イメージ図(図7)にあるように役場に防災井戸が常設されている場合、役場の冷暖房を地中熱化するための一助となります。

・農業用水
施設園芸を行っている地域では、農業用水がグリーンハウスまで水配管がされていますので、きわめて容易にかつ安価に熱利用が可能となります。グリーンハウスにおける農業用水の熱利用には、すでにいくつかの実施例があり、成果を上げています。栽培する品種によって、空調温度の設定が異なってきますが、地中熱ヒートポンプシステムではどの品種にも適用できる温度制御ができます。

・工業用水
工業用水の利用方法は千差万別ですが、夏期に水温が現状より5℃上がっても問題がない使われ方、又は、冬期5℃下がっても問題がない使われ方をしている工場も多いと思われます。このような工場では、工業用水の取り入れ口に、熱交換器を設置することで、工業用水を地中熱ヒートポンプシステムの熱源とすることができます。

9.おわりに

東日本大震災からの復興にあたって、創造的な復興が唱えられています。復興会議の原則4は「自然エネルギー活用型地域の建設」です。自然エネルギーを活用した創造的なエネルギーシステムを東日本につくるチャンスです。また、自然エネルギーを利用したスマートコミュニティの概念を実現できるチャンスでもあるはずです。被災地に再生されたコミュニティが、これからの日本を先導するエネルギーモデルとなったら素晴らしいと思います。自然エネルギーの活用においては、この提言で述べた地中熱もその一翼を担うことができると信じています。

NPO法人地中熱利用促進協会では、東日本の被災地復興への支援を続けていきますので、地中熱利用に関するご質問、ご意見がありましたら、協会事務局まで御連絡をお願いいたします。

震災復興に取り組まれている皆様へ(pdf版資料:826kB)