地中熱利用促進協会 地中熱利用をお考えの全ての方にご協力いたします!

Geo-Heat Promotion Association of Japan

協会からの提言

震災復興に取り組まれている皆様へ

平成23年6月7日

コミュニティ再生における地中熱の活用
- 震災復興に向けての提言 -

NPO法人 地中熱利用促進協会
1.はじめに このたびの東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞いを申しあげます。
東日本大震災とそれに伴う原発事故を受けて、わが国のエネルギー政策の見直しが始められています。再生可能な自然エネルギーがこれからの日本のエネルギーを担う1つの柱として注目を集めていますが、これからご紹介する地中熱は、日本中どこでも安定的に利用できる自然エネルギーです。地中熱は昨年改訂されたエネルギー基本計画に初めて取り上げられましたが、まだ国民の皆様に十分認知されている状況にはありません。環境性に優れた地中熱の利用についてご理解いただき、地中熱を被災地の復興に活用していただけますよう、これまでこの分野で数多くの経験をもつ地中熱利用促進協会は、この提言を作成いたしました。
地中熱利用促進協会は、設立8年目を迎えたNPO法人で、国民の生活環境の向上に寄与することを目的にして、地中熱利用に関する知識と地中熱利用技術の普及促進の活動を行っています。環境関連の展示会への出展やホームページ等での広報、市民相談等を通じて、多くの方に地中熱の優れた特性を知っていただくとともに、シンポジウムや講習会の開催、施工管理マニュアルの作成等で、地中熱利用技術の普及に努めてきています。2011年5月18日時点での当協会の会員数は、団体会員125社、個人会員41名、大学・官庁等の賛助会員53名です(http://www.geohpaj.org/index.htm)
この度の東日本大震災からの復興に向けて、当協会では震災復興のタスクフォースを結成し、これまでの経験と実績をもとに、将来の日本のモデルになるような自然エネルギーを使った持続可能な社会を実現するために、地中熱利用でどのような貢献ができるかを検討いたしました。この提言はそのタスクフォースでの検討結果を取りまとめたものです。当協会ではすでに4月19日に節電・省エネに向けた緊急アピールとして「切り札は地中熱ヒートポンプによる冷暖房です」を発表し、ホームページに掲載しておりますので、この提言とあわせてご活用ください。

2.地中熱とは

 地球のエネルギーである地熱と地中熱は、太陽、風力、水力、バイオマスとともにポテンシャルの大きな自然エネルギーです。同じ地球のエネルギーでも、発電に利用される地熱エネルギーの分布が、火山の周辺の場所などに限られているのに対して、年間通して温度変化の小さい地中の熱的特性を活用する地中熱は、日本中どこでも利用できます。地表から10mくらいの深さのところでは、その場所の年平均気温とほぼ同じ温度になっており、年間を通してその温度はほとんど変化しませんので、地中熱では夏冬の地温と気温の温度差をエネルギーとして利用します(図1)。
夏にトンネルの中はひんやりしますが、それはトンネルが冷房されているわけではなく、気温に比べて夏は地中の温度が低いからです。冬は逆に地中の温度が気温より高くなります。井戸水が夏冷たく感じられ、冬暖かく感じられるのと同じです(図2)。



このように気温が変化しても地温が一定であることは、昔から農村でもよく理解されており、野菜を一定温度の場所に貯蔵する「むろ」として、地中が活用されてきました(図2)。地中の温度が一定であることは住宅にも利用されており、私たちの先祖は縄文時代に竪穴住居に住んでいましたが、これも夏冷たく、冬暖かい地中熱をうまく取り入れた方法です(図3)。

3.地中熱の利用

年間通して温度が一定の地中熱は、いつでもどこでも利用できる状態にあります。現代の技術を使うと、この地中熱はどのように利用できるでしょうか。
地中熱の利用の仕方にはいろいろな方法があります。竪穴式住居は、地中と地上との温度差を巧みに利用して生活空間を作ったものですが、熱伝導を利用したこのような直接的な利用の仕方は現代の建築物にも取り入れられています。断熱性と気密性に優れた住宅では、床下からの伝熱として地中熱を利用できると言われています。パッシブハウス的な発想です。地中熱のエネルギーをもっと積極的に利用しようとすると、地中に孔をあけ、パイプを埋め込み、そこに空気を循環させたり、水や不凍液を循環させて、地中で熱交換して熱を取り出す方法があります。空気を循環させる方法では、地中熱換気システムとして地中熱が利用できます。
一方、地中に埋設したパイプに水(不凍液)を循環させると、さらに効率的に地中熱の利用ができます。この水(不凍液)循環に省エネ機器であるヒートポンプを組み合わせたシステムが、地中熱ヒートポンプシステムで、地中に水等の流体を循環させる方法のほか、汲み上げた地下水と熱交換を行う方法があります。地中熱ヒートポンプシステムは、住宅や事業所で必要とされる熱需要に対応できるシステムです。これは世界的にみて、もっともポピュラーな地中熱の利用方法です(図4)。

地中熱ヒートポンプシステムは、一般住宅のほか、オフィス、店舗、学校、病院、宿泊施設、温浴施設、老人ホームなどの福祉施設、道路や駐車場の融雪施設などで、冷暖房、給湯、融雪に利用されています。特に、熱需要の多い病院、温浴施設、福祉施設は、地中熱の利用に向いており、また、最近では待機中の消防自動車の保温のため北海道の消防署での導入が進んでいます。
この資料では、以下、地中熱ヒートポンプシステムに焦点を合わせて、地中熱利用についての説明をします。

4.地中熱ヒートポンプの優れた点

 地中熱ヒートポンプシステムは、自然エネルギーである地中熱を使い、また省エネ機器であるヒートポンプを使っていますので、環境性能は抜群です。これまで石油を暖房に使っていた施設で地中熱ヒートポンプに代替すると、大きな省エネ効果とともに大きなCO2削減効果が得られます。たとえば、青森県の公共施設に地中熱ヒートポンプシステムを導入した例で見ると、省エネ率が46%、CO2削減は50%となっています(図5)。

5.地中熱の普及状況

 地中熱ヒートポンプの利用は、近年欧米諸国において急速に広がりつつあります。図6では5年ごとのデータを比較していますが、アメリカが一番普及しています。世界的に見ると地中熱は、他の自然エネルギー同様にこの15年間に大きな伸びを示しています。アジアでは中国の伸びが大きく、アメリカに次ぐ設備容量となっています(図6)。
わが国でも地中熱ヒートポンプの利用施設は、増加しているのですが、その絶対数が極めて少なく、欧米・中国に大きな差を付けられているのが現状です。わが国の地中熱の普及が極めて少ないのは、欧米諸国や中国では国のエネルギー政策として地中熱への助成措置が講じられていたことに対し、わが国の場合、昨年まで国のエネルギー政策の中に、地中熱がはいっていなかったことが大きな要因の一つと考えられます。
昨年改訂されたエネルギー基本計画で、初めて地中熱が再生可能エネルギーとして政策に位置づけられました。 そして、本年度は経済産業省の再生可能エネルギー熱利用拡大の政策として、地中熱利用にも導入支援のための助成制度が実現しています。これに関連してマスコミでも地中熱を取り上げていただける機会が増え、ようやく地中熱の本格的な普及が始まる状況にあります。

6.他の再生可能エネルギーとの違い

地域では様々な自然エネルギーが利用できますが、それぞれに利用できる場所、時間帯の制約があるものが多く、利用形態も様々です。これらの自然エネルギー比較してみると、それぞれの自然エネルギーの特性が見えてきて、利用者側のニーズや利用場所との関係でエネルギーを選択することができると思います(表1)。
太陽光による発電や、太陽熱利用のすばらしさは、どこでも使えるという点です。但し、雨や雪が降ると使えませんし、当然ながら、夜間は使えません。それに対し、地熱発電は、場所は限定されますが、稼働率は95%を超え、抜群の安定性を誇っています。
地中熱及びバイオマス(木質ペレットなど)は、夏でも冬でも、昼間でも夜でも、使えるという点で、使い易いエネルギーとなっています。地中熱は、発電はできませんが、熱利用ということでは、最も幅広い需要に応えられます。それは、一年を通して温度が一定であるため、冷熱と温熱が利用できるためで、これは他の自然エネルギーにないたいへんユニークな特徴です。また、時間および場所の制約がともにないことも、他の自然エネルギーにない特徴です。つまり、東北地方の被災地ではどこでも、復興に必要なエネルギーを地中から取り出すことができます。

7.地中熱を利用したコミュニティ再生

昨年出された新成長戦略では、「グリーン・イノベーション」が成長分野のトップに挙げられています。環境・エネルギー大国を目指すグリーン・イノベーションでは、低炭素社会を実現するのみならず、新しい価値の創出により経済成長を牽引することが求められており、自然エネルギーの大量導入が大きな要素となることは確実です。そして、原発事故を伴う3月11日の東日本大震災は、この自然エネルギーに向かう流れを、大きく加速しました。
被災地の復興にあたり、復興構想会議では5月10日の会合で復興構想7原則を策定しており、その中に「地域社会の強い絆を守りつつ、災害に強い安全・安心のまち、自然エネルギー活用型地域の建設を進める」(原則4)が書かれています。そしてこの原則について書いた文書の最後に、「各界・各層のご意見を仰ぎつつ、さらに議論を深め、未来の日本にとって希望となる復興の『青写真』を描きたい」と書かれています。
東日本大震災被災地のコミュニティ再生にあたり、自然エネルギーを活用することは、まさに時代の流れであり、将来のわが国のモデルとなる構想を是非ともまとめていただきたいと思っています。そのためには先に述べましたように、それぞれの自然エネルギーのもつ特性を理解していただくとともに、実際の活用の仕方について理解していただき、復興の『青写真』を作っていただくこと重要であると思っています。
このような視点から、復興での街づくりに地中熱がどのように活用できるかについて、以下に説明いたします。

このイメージ図では、地中熱を利用したコミュニティの再生を描いています(図7)。建物が大都市のように密集せず、この図に描かれている程度の建物間隔でコミュニティが構成される場合、自然エネルギーである地中熱の利用で、それぞれの施設の冷暖房・給湯・融雪の熱エネルギーは、全て賄うことができます。しかし、地中熱の場合は、電気をつくることができませんので、コミュニティに必要なエネルギーを100%自然エネルギーで賄うには、住宅や建物を活用した太陽光発電や、近隣の立地条件のよい場所での風力発電や小水力発電との組み合わせが必要となります。さらに、バイオマスや太陽熱もそれぞれの特徴と地域の社会構造を考慮して組み合わせていけば、それぞれの地域で自然エネルギーのベストミックスができるはずです。
自然エネルギーには電気としての使い方と熱としての使い方があります。電気は送電網によるエネルギーの搬送が可能ですが、熱の長距離の搬送は経済性やエネルギーロスの面から好ましくなく、その場で使うことが原則です。また、電気の貯蔵には経済性の壁がありますが、熱の場合は蓄熱が比較的容易であるという利点があります。これらの特性を理解しながら、自然エネルギーからの供給を、ITを活用しながら、様々なエネルギー需要と組み合わせていくと、自然エネルギーをベースにしたスマートコミュニティができあがるのではないでしょうか。
さて、イメージ図(図7)に戻り、地中熱を利用した施設を紹介します。街の中央に公園があり、そこに地中熱を取り出す熱交換器が何本も埋設してあります。この公園の下から取られた熱が集められて、隣接する集合住宅に供給され、住宅の冷暖房に活用されます。これまで、かなりの数の戸建住宅で地中熱を利用した設備が設置されていますが、このように地中熱利用設備を共通インフラとして、まとまった形での利用する例は初めてです。地中熱交換器を共有する形がとれるとスケールメリットがあり、効率的かつ経済的な利用ができますので、初期コスト低減も可能となるなど、この例はわが国の地中熱利用における先駆的なモデルになります。
公園の手前にある時計台のある建物は役場です。職員のほか多くの人が訪れる場所ですので、どの役場にも広い駐車場があります。そのスペースがあれば十分な数の地中熱交換器が埋設でき、庁舎の建物全体の冷暖房が地中熱でできます。また、防災用の井戸を準備すると思いますので、平時はその井戸水の熱を利用することで、さらに効率的なエネルギー利用が可能になります。井戸水の利用については、次の項で説明します。
役場の左手には病院があります。病院は熱需要の大きな施設であり、現在、どの病院も省エネ・CO2の削減に向けた努力をしていますが、地中熱利用はその解決策になります。NEDOの高効率エネルギーシステム導入促進事業の報告書には、40%の省エネを実現した病院の事例が掲載されています。病院のように24時間冷暖房が必要で、しかも大きな給湯需要があるところは、地中熱の利用に向いており、初期コストを短い期間に回収することができます。また、最近、放射冷暖房を導入する病院が増えてきていますが、地中熱を利用すると、放射冷暖房で室内に流す冷温水の温度が地中熱の温度に近いため、たいへん効率的な運転ができます。
病院から通りを隔てたところにコンビニがあります。ここでは、建物の下にある杭に熱交換器を付けた形で地中熱と利用しています。ある程度大きな建物では基礎杭を打つケースが多くみられますが、この杭を利用する方法は最近多く採用されるようになっており、熱交換器の設置コストの低減に寄与しています。
さらにその奥にあるのが消防署です。積雪地域であれば消防自動車が出動する路面の融雪が必要です。また消防自動車が屋内で待機しているときに、冬季であればエンジンが冷えない適温の暖房が必要です。このような加温にはそれほど高い熱源を導入する必要はなく、地中熱が熱源としてたいへん向いています。
消防署の右隣にあるのが学校です。ここではプールと体育館に注目してください。プールでは地中熱を利用すると効率的に温水が供給できます。また、体育館では床暖房に地中熱を利用すると冬の寒い時でも、足下を気にせずに運動に専念できます。
学校から通りを隔てた手前側にビニールハウスがあります。最近は、地中熱の農業利用に向けた数多くの取り組みが行われています。ここで注目してほしいのが、地中熱交換器が水平型になっている点です。ボーリングによる垂直型のものに比べて経済性があると言われています。この熱交換器については次の項で説明します。
ビニールハウスの前の通りには、融雪用のパイプが埋設されています。積雪のあるところでは、いろいろな熱源で融雪がなされていますが、自然エネルギーである地中熱を使った融雪システムは、すでに数多くの実績があります。
最後に一番手前にある戸建住宅ですが、これは現在普及しているごく一般的な地中熱の利用例です。ボーリングにより地中熱交換器を埋設する工法で、安定的に地中熱を利用していただけるシステムです。
地中熱にはこのイメージ図に描かれているように、多様な使われ方がありますので、復興計画を策定される際には、それぞれのニーズとのマッチングをはかっていただきたいと思っています。

8.地中熱の取り出し方

最後に地中からの熱の取り出し方について説明します。地中熱利用ヒートポンプシステムでは、熱源を地中そのもの(土壌、地層、岩盤など)に求めるか、地中から汲み上げた地下水に求めるかで、システムの構成が異なります。地中そのものに熱源を求める場合は、図8にあるような地中熱交換器を設置します。地中熱は熱交換器中のパイプの中を流れる水(不凍液)を通して採放熱されます。このシステムはクローズド型(あるいはクローズドループ)と呼ばれます。もうひとつのシステムは、地中の帯水層中から汲み上げた地下水から採放熱するもので、地下水は外界の一部となっていますのでオープン型(あるいはオープンループ)と呼ばれます(図9)。熱源の利用が効率良く行われれば、地中熱の導入コストが下がります。
以下に、それぞれについて、熱の取り出し方を説明します。

8.1.クローズド型
・垂直型熱交換器
地中の熱源からエネルギーを取り出す際に、通常用いられているのが垂直型熱交換器です。垂直型地中熱交換器は、100m程度のボーリングをし(掘削機で地中に孔をあけ)、その孔にポリエチレン管を挿入します。そして、そのポリエチレン管に水(不凍液)などを循環させることで熱交換器として機能します。垂直型熱交換器には、ボーリング孔のほか基礎杭や採熱用鋼管杭なども利用されています。

・水平型熱交換器
これまで我が国では、地中熱ヒートポンプを利用する多くの場合、垂直型熱交換器が使われてきました。しかしながら、米国では水平型熱交換器が、よく使われています。この熱交換器は、広い設置面積を必要とすることから、我が国では普及していませんが、復興に際して、あらかじめ水平型熱交換器を埋設できる場合には、これを利用するのも、初期コストを下げるのに良い方法です。この熱交換器は、ボーリング用掘削機といった特殊機械ではなく、通常の土木機械によって設置可能です。

8.2.オープン型
オープン型地中熱ヒートポンプシステムでは、地中から汲み上げられた井戸水(地下水)を熱源に用いますが、農業用水、工業用水も熱源として用いることができます。農業用水や工業用水で地下水を使っている場合は、それらの水温は通年比較的安定しています。農業用水、工業用水で、ダム等の地表水から取水されている場合は、地中熱利用とは呼べませんが、ヒートポンプを用いた利用の仕方は同じですので、それぞれの地域の状況に応じて検討されるのがよいと思います。

・井戸水
井戸水は通年その温度がほぼ一定していますので、地中熱ヒートポンプシステムで有効に使える熱源です。現状では、井戸水を利用したオープン型のシステムは、地中熱ヒートポンプシステム全体の20%程度の件数です。このシステムの経済性は高いのですが、熱交換をした後の井戸水は、地下に戻して利用するのが原則となりますので、還元井戸の目詰まり等のメンテナンスが必要であるため、ある程度の規模以上の施設に向いています。
被災地におけるコミュニティ再生においては、防災用の井戸水を熱源とする地中熱ヒートポンプシステムも検討されてみたら如何でしょうか。防災井戸は全国各地に多く設置されていますが、通常は使用されていません。防災井戸は、単独に設置されることはほとんど無く、公民館など公共施設の付属施設であることが多いので、平常時には、この井戸から水を汲み上げ、冷暖房の熱源として活用することができます。例えば、イメージ図(図7)にあるように役場に防災井戸が常設されている場合、役場の冷暖房を地中熱化するための一助となります。

・農業用水
施設園芸を行っている地域では、農業用水がグリーンハウスまで水配管がされていますので、きわめて容易にかつ安価に熱利用が可能となります。グリーンハウスにおける農業用水の熱利用には、すでにいくつかの実施例があり、成果を上げています。栽培する品種によって、空調温度の設定が異なってきますが、地中熱ヒートポンプシステムではどの品種にも適用できる温度制御ができます。

・工業用水
工業用水の利用方法は千差万別ですが、夏期に水温が現状より5℃上がっても問題がない使われ方、又は、冬期5℃下がっても問題がない使われ方をしている工場も多いと思われます。このような工場では、工業用水の取り入れ口に、熱交換器を設置することで、工業用水を地中熱ヒートポンプシステムの熱源とすることができます。

9.おわりに

東日本大震災からの復興にあたって、創造的な復興が唱えられています。復興会議の原則4は「自然エネルギー活用型地域の建設」です。自然エネルギーを活用した創造的なエネルギーシステムを東日本につくるチャンスです。また、自然エネルギーを利用したスマートコミュニティの概念を実現できるチャンスでもあるはずです。被災地に再生されたコミュニティが、これからの日本を先導するエネルギーモデルとなったら素晴らしいと思います。自然エネルギーの活用においては、この提言で述べた地中熱もその一翼を担うことができると信じています。

NPO法人地中熱利用促進協会では、東日本の被災地復興への支援を続けていきますので、地中熱利用に関するご質問、ご意見がありましたら、協会事務局まで御連絡をお願いいたします。

震災復興に取り組まれている皆様へ(pdf版資料:826kB)