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節電・省エネをお考えの皆様へ
平成23年4月19日
 
切り札は地中熱ヒートポンプによる冷暖房です
NPO法人 地中熱利用促進協会

 東日本大震災で被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。地中熱利用促進協会では復興を支援するタスクフォースをつくり、再生可能エネルギーである地中熱を活用した復興計画を検討しています。
 一方、東日本大震災に伴う原発事故等により電力事情が悪化し、東京電力・東北電力管内でこの夏の電力不足が懸念されています。震災復興支援計画については別途提示する予定ですが、ここでは、この先長引きそうな電力不足の中で、節電・省エネに高い効果のある地中熱ヒートポンプによる冷暖房の特徴と実績を紹介します。

 節電効果が大です!:地中熱ヒートポンプを利用した冷暖房システム(エアコン)は、 年間通して温度が一定の地中を利用し、夏の冷房では大気より低い温度の地中に放熱し、冬の暖房では高い温度 の地中から採熱します(図1)。夏冬とも自然界にある温度差が利用できるので、空気熱を利用する通常のエア コンより、高い効率で稼働します。つまり、節電効果、省エネ効果が極めて高いエアコンといえます(図2, 3) 。地中熱ヒートポンプ利用のエアコンは、特に冷房の効率がよいので、夏の電力消費量を小さく抑えることがで きます(図2, 3)。まさに、暑い夏のピークカットに最も効果のある空調設備といえます。1)




 環境にも貢献します!:大都市圏では、通常のエアコンから排熱等に より、ヒートアイランド現象が生じていますが、地中熱ヒートポンプのエアコンでは大気中への排熱がないので 、街区単位で地中熱を利用すると、夏季に気温の上昇を抑えることができます。気温が抑えられれば、結果的に 冷房の電力消費は小さくなります。
  また、冬季でも暖房の省エネ効果が高く、灯油の代替としても高い効率で稼働します。省エネ性に優れているので、削減効果も大きくなります(図4)。

 いつでも設置できます!:地中熱ヒートポンプによる冷暖房システムは、新築は勿論のこと既設の建物でも設置可能です。昨年は、埼玉県春日部市役所で既設の冷暖房システムの一部を、効率のよい地中熱ヒートポンプに更新しています。既設の建物では、駐車場など建物の周りにボーリングをするスペースがあれば設置できます。新築の建物の場合は、ボーリングのほか建物の基礎杭にも地中熱交換器を組み込むことができます。来年開業する東京スカイツリーにも、地中熱ヒートポンプが使われます。
また、地下水が豊かで揚水規制のない地域であれば、地下水の熱を利用することも可能です。病院、工場等において、雑用水や工業用水として使用する地下水の熱を地中熱ヒートポンプシステムに活用すれば、節電・省エネの冷暖房システムができます。

 補助金を活用しましょう!:地中熱利用は、長い間認知度が低い状況が続いていましたが、昨年は政府のエネルギー基本計画に取り上げられ、エネルギー政策の中では、再生可能エネルギーの一つとして認められています。
高効率で環境性に優れた地中熱ヒートポンプですが、わが国では諸外国に比べ普及が進んでいません(図5)。このため初期コストが高めですが、今年は従来からある環境省の補助金2)に加え、経済産業省の補助金が利用できます。一般の民間事業者を対象にした再生可能エネルギー熱事業者支援対策事業3)(3分の1補助)と地方公共団体や非営利民間団体等を対象にした地域再生可能エネルギー熱導入促進対策事業3)(2分の1補助)の2つが、今年度新設された経済産業省の助成制度です(補助事業者:(社)新エネルギー導入促進協議会)。また、昨年度までNEDOが担当していた住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業4)(補助事業者:(社)環境共創イニシアチブ)も利用できます。これらの制度を活用することにより、地中熱利用設備費の回収期間を大幅に短縮することができます。さらに今年度からは、日本政策金融公庫からの融資5)も地中熱利用設備に対して受けることができるようになりました。

再生可能エネルギーの利用拡大は、21世紀の大きな歴史の流れです。節電対応を機に、再生可能エネルギーである地中熱を大幅に取り入れて、安全で持続性のある社会に変えていきましょう。

参照URL

1) 電力ピーク負荷低減のための地中熱利用ヒートポンプの導入促進の提言(日本地熱学会
 地中熱利用技術専門 部会 H23.4.6)
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/grsj/proposal/proposal110405b.html
2) 環境省の地方公共団体・事業者向け補助金
 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/biz_local.html
3) http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1102/110204a/110204a.htm 
 (5月公募予定)
4) http://www.enecho.meti.go.jp/info/tender/tenddata/1103/110308d/110308d.htm 
 (5月公募予定)
5) 環境・エネルギー対策資金〈非化石エネルギー関連〉
 http://www.jfc.go.jp/c/jpn/search/27.html
 http://www.jfc.go.jp/k/yuushi/already/tyuusyo/spsearch/kankyo/99_sekiyudaigae_m.html

引用文献

石上 孝・渡部敦史・石黒幸治・辻 弘一・谷口聡子・大島和夫(2010) 地中熱利用冷暖房・融雪
 システムの概 要と長期運転実績評価〈地中熱ヒートポンプの特徴と設計時の留意点〉.日本工
 業出版「建築設備と配管工事」 , vol.48, no.2.p.39-44.
環境省(2010) 日本の地中熱利用施設の普及状況について.NPO法人地中熱利用促進協会
 2010年度第1回シンポジ ウム資料.
Lund J. W., Freeston D.H.& Boyd T.L. (2010) Direct Utilization of Geothermal Energy 2010
 Worldwide Review. Proceedings World Geothermal Congress 2010, Bali, Indonesia, 25-29
 April 2010.

笹田政克(2010) 地中熱利用による小規模オフィスビルの空調更新〈都心ではじめて実用化導入
 した一番町笹田 ビル1年間の実績〉.日本工業出版「建築設備と配管工事」, vol.48, no.5,
 p.80-85.


節電・省エネをお考えの皆様へ (pdf版資料:250kB)

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