HOME
>
技術資料
>
地中熱見学レポート等
>H18秋田地区見学会
技術資料
││
発行図書
│
関連図書
│
技術解説
│
Q&A
│
関連論文
│
講演要旨
│
見学レポ
│
関連報道
見学レポート等
H17日本地熱学会
スイス地中熱利用施設
WGC2005における
地中熱利用に関する
研究発表
H18名古屋見学会
アンケート
H18弘前見学会
H18名古屋地区
施設見学会
H18秋田地区見学会
H19札幌地区見学会
・秋田地区地中熱利用ヒートポンプ施設見学会の雑感
秋田地区地中熱利用ヒートポンプ施設見学会の雑感
三菱マテリアル資源開発(株) 大島和夫
冬の秋田にしては良い天気に恵まれた平成18年12月6日(水曜日)の13:00に秋田市駅中央改札口に集合し、この日の施設見学会がスタートした。
駅からバスで、20分程度で"秋田市立山王中学校"に到着、現地に直行していた数名と合流し、全体で参加者は24名となる。
中学校の奥教頭先生から御案内頂き、中学校の図書館をお借りして、"秋田市立山王中学校における基礎杭による水蓄熱式地中熱利用冷暖房システム"の概要を、資料に基き説明した。この説明は、この地中熱利用システムの施工を担当した三菱マテリアル資源開発(株)の石上さんが行った。説明後の質疑でも活発な意見の交換が行われ、地中熱利用冷暖房システムを含めた本校舎の全体の設備設計を担当した、(有)花田設計事務所の花田さんを初め、秋田市の新エネルギービジョン作成委員長の秋林秋田大学名誉教授からも解説等、山王中学校の地中熱利用冷暖房システムに関する説明があった。
山王中学校の基礎杭を地中熱交換器に使用した地中熱利用冷暖房システムは、日本国内では今までにはない最大規模の地中熱利用冷暖房設備である。
ここの地中熱利用システムは、地中熱利用ヒートポンプシステムを電力料金が経済的な夜間電力を利用した蓄熱運転を行い、夏は5℃の冷水を、冬は50℃の温水を建物の床下(地下)に設けた140m3の蓄熱槽に溜めて、この熱を夏季は教室の冷房と冬季は体育館の床暖房の熱源として利用するシステムとなっている。
尚、地中熱利用システムにより供給する暖房用熱量は、学校施設全体で必要とする暖房熱量の一部として供給される設計で、地中熱利用システムの他に灯油ボイラーシステムを併設した熱供給システムとなっている。
地中熱利用システムで発生する暖房熱は体育館の床暖房に利用されており、見学の当日も体育館は12月と言うのに快適な環境で、多くの生徒さんが体育の授業を楽しんでいた。
我々見学者も、スリッパを脱いで体育館の床の心地良い温かさに触れることができた。
地中熱利用システムの特徴でもあり経済性上の欠点でもある地中熱交換器の設置にコストが掛かるが、夏季も冬季も大気温度よりも安定した温度の地中熱を利用することでランニングコストは非常に経済的になり、省エネルギー、省C02に寄与している。
如何にして、経済的で効率的な地中熱交換器システムを構築するかが、地中熱利用システムの大きな課題であるが、ここでは深さ50mと深い基礎杭を75本も利用することができたことで、地中熱交換器システムのイニシャルコストの経済性に大きく寄与している。
更に、地中熱利用システムと灯油ボイラーを組合せた設備設計を行うことで、イニシャルコストが掛かる地中熱利用システムの規模を選定し、地中熱利用システムの特徴であるランニングコストの経済性を発揮させ、更に、経済的な夜間電力による蓄熱システムを併設しているここの設備例は、今後の大規模な建築物の設備設計に、地中熱利用システムを導入する際にも大いに参考になるものと推察する。
地中熱利用システムは、当初の設計に沿って、十分満足の行く運転が行われている状況が窺われ、今後の地中熱利用システムの活用に利用できる運転データ類の収集が期待される。
秋田市内の山王中学校近傍は、地層が粘土や砂等から成り軟質なため、大きな構造物を設置する場合は深い基礎杭が必要とされ、この山王中学校の基礎杭を利用した地中熱交換器の設置例は、今後大いに参考になるものと推察する。
地中熱利用システムは、エネルギーの殆どを地中から採取して利用するため、ランニングコストが経済的なこと、更に、電力の使用量も少ないため、CO2の発生量も少ない環境に優しいエネルギーシステムであり、都市部ではヒートアイランド減少の抑制が可能な空調システムとしても注目されているので、今後一層の普及が促進されるものと期待している。尚、この地中熱は、床暖房等の熱源の他に、道路融雪等にも利用することができるので、積雪や凍結のある地域で今後大いに普及が期待される技術である。
秋田市山王中学校の見学を終えて、バスで約40分の美郷町"名水市場湧太郎"に移動した。この施設は"六郷まちづくり(株)"が建設、運営している施設である。
美郷町の旧六郷町地内にはきれいな地下水が豊富に分布し、街の各地に沢山の清水が湧出し、美しい景観とともに、おいしい水を提供している。
湧太郎内には地元のお土産品と一緒に、おいしい水で作った"サイダー"が売られており、若干寒かったがこのサイダーを味わった方も多くいました。
この"名水市場湧太郎"を建設する計画の段階で、当時の六郷町から三菱マテリアル資源開発(株)は秋田大学と共同研究の一環として、この地下水が豊富な場所に地中熱交換井を設置し、共同試験研究を行うことに御協力を戴き、試験場所を提供して戴くことができた。
今回見学した地中熱利用ヒートポンプは、この共同研究を終えた後の井戸(5m*3本)を利用して、湧太郎施設内で六郷町の地下水を紹介しながら、地中熱利用システムを紹介し、更に、地下水が豊富にある六郷町は地中熱利用システムが非常に有効な地域であることを広くPRすることを目的に、"水の学習室"に設置し、冷暖房空調に利用している。
地下水は地中熱を運んでくる媒体として非常に重要な要素であり、地下水が豊富に流れている美郷町地域は、地中熱利用システムに最適な地域であることから、今後の地中熱利用システムの普及が更に促進されることを期待したい。
秋田の冬の天候は著しく変化し、吹雪の際の見学会を想定してバスの時間等を想定したが、幸いの好天により、予定より早く進めることができたため、大曲駅の解散時間も約1時間前にスライドし、無事見学会を終了した。
見学会開催地の施設関係者の皆様、遠路御出席の皆様、見学会を催行した関係者の皆様、大変有難うございました。
以 上
秋田市立山王中学校
床暖房のある体育館で床の暖かさを実感
秋田市立山王中学校
機械室内の地中熱利用ヒートポンプ設備
秋田県美郷町(旧六郷町)の"湧水市場湧太郎"の水の学習室に
設置している地中熱利用ヒートポンプ設備
All right reserved Geo-Heat Promotion Association of Japan