地中熱利用促進協会
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・平成17年日本地熱学会見学会

 2005年11月21〜22日の2日間にわたって、日本地熱学会見学会(地中熱利用促進協会 協賛)が行われました。そのうち22日には、地中熱利用に関連した2施設(YBM社地中熱利用施設と九州大学地中熱利用施設)を訪問しましたので、その内容を紹介します。

1.YBM社地中熱利用施設(佐賀県唐津市)
ワイビーエム岸山工場事務所に設置された設備で、200平方メートルと70平方メートルの2室の冷暖房に地中熱が利用されています。見学会では、屋外の駐車場の地下に埋設された坑内熱交換パイプ、工場内に設置されたヒートポンプ、事務所内の室内ユニット等を巡検しました。


坑内熱交換パイプ(U字管)埋設状況
U字管(75m×12本)は事務所敷地内の駐車場の地下に埋設され、そのうちの1ケ所は、マンホールの蓋を開けると現在も覗くことができます。


地中→ヒートポンプ→室内への配管

ヒートポンプと制御盤(写真提供:YBM社)
水冷チラー式ヒートポンプ(定格出力7.5kW、冷房能力30.5kW、加熱能力34.0kW)、ガス直膨式ヒートポンプ(定格出力3.7kW、冷房能力12.5kW、加熱能力13.5kW)が工場内に設置され、そこから冷気または暖気が事務所内に送られています。


水冷チラー式エアコン室内用ユニット

地中熱利用空調システムモニタリング画面
(写真提供:YBM社)

室内機の使い勝手は通常のエアコンと何ら変わりません。室内のパソコン画面にて電力量、温度、動作状況等を確認できます。

また見学会では屋外を回り、YBM社の高速掘削機や、九州大学による地下の熱伝導率等測定の実験装置も見学しました。


YBM社の高速低騒音掘削機

九州大学の観測装置


2.九州大学地中熱利用施設(福岡県福岡市)
福岡市東区のアイランドシティ内に恒久的に建てられた地中熱利用の実験住宅です。この施設で研究を行っている九州大大学院工学研究院地球熱システム学研究室の江原幸雄教授らの研究グループは、施設内の観測井での水位変動から、2005年3月の福岡県西方沖地震を予知したことでも話題になりました。
(以下の写真および図は全て、九州大学地球熱システム学研究室 提供)


設置場所:福岡市東区アイランドシティ

実験棟および地中熱システム室外ユニット

システム概要

・ヒートポンプ:居間には1室対応型のHP(6.4kW)、他の部屋には1台で4室対応が可能なマルチ型のHP(8kW)を用いて高効率の運転を図り、また2次側を直膨式にすることで、高い成績係数COP(Coefficient of Performance、投入エネルギー量に対して得られたエネルギー量の比)を目指しています。
・地中熱交換器DCHE(Downhole Coaxial Heat Exchabger, 坑内同軸熱交換器):熱の受け渡しが行いやすい外管と熱を外に逃しにくい内管を使用しているため、高効率で熱交換を行うことが可能です。直径76mm、長さ60mの地中熱交換器を使用しています

調査・研究
九州大学地球熱システム学研究室では、実験住宅設置に先立ち、物理探査を利用した地下の比抵抗調査による堅硬な岩盤の深度や地下水位の把握、数値シミュレーションによる熱負荷計算などの研究を行っています。また坑内熱交換器設置の際には、鉛直温度分布も含めた詳細な温度応答試験を行い、熱伝導率分布の鉛直分布等を調べました。


掘削地点付近の比抵抗構造:堅硬な岩盤の深度、地下水位の把握

熱負荷シミュレーション
冷房25℃-暖房22℃を設定。計算プログラム:TrP

温度応答試験結果

運転結果
2005年2月〜4月初めまでの暖房連続運転の結果では、COP=3.5〜4となりました。灯油ストーブに比べ、CO2排出量を約60%削減することができます。本システムは、初期投資が約350万円でと高いのですが、ランニングコストが年間約10万円節約できるので、25年以上利用すれば通常のエアコンより経済的で、普及が進めば初期投資は更に下がると考えられます。

(独立行政法人 産業技術総合研究所 安川香澄)
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